2006年12月4・5・6・7日につくば国際会議場にてJAPDT第1回カンファレンスが開催されました。都市部から少し離れた会場であったにもかかわらず、のべ866人の方が参加され、大変活気ある有意義なカンファレンスになりました。
今回のカンファレンスで、何よりも不満が多かったのは、おそらく、「聴きたい講演がすべて聴けない!!」ということではないでしょうか。講演は3つの会場を使って同時進行で進められ、同時間に魅力的な講演がいくつも重なっている大変悔しいプログラムになっていました。逆に言えば、DVD(*)が出来上がるのを楽しみにしていましょうということでしょうか。
したがって、私も残念ながら全ての講演を聴くことはできませんでしたが、一部のカンファレンス内容を報告させていただきます。
まず初めの講演は、ドッグトレーニングの理論を語らせたら右に出る者はいない、パメラ・リード博士の「エクセレレーテッド・ラーニング:イヌはどのように学習するか」でした。朝から頭をフル回転しないとついていけない内容でしたが、「分かっているつもり」と思っていた内容を再認識することができ、基本に立ち返ることができる大変意味のある講演でした。
JAPDT設立総会では、太田理事長よりJAPDTが設立された経緯、協会の主旨が報告され、日本獣医師会山根会長、APDT会長テオティ・アンダーソンさんより祝辞を賜り、まだまだ会員数は少ないけれども、日本のペットドッグトレーニングというフィールドに何かすごいことができそうな団体が立ち上がったんだという印象を受けました。
初日の午後の講演では、早速イアン・ダンバー博士とドナ・デュフォードさんの講演が重なっていました。基調講演では、ペットドッグトレーニングの生き字引とも言えるイアン・ダンバー博士が、ペットドッグトレーニングの過去・現在・未来について講演されました。ドナ・デュフォードさんは知識と経験が豊富なドッグトレーナーであるだけでなく、聞いている人を引きつける、魅力的な講演をすることでも有名です。今回、ドナさんの楽しい講演を聞いてファンになった方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
学術的な講演が聴けるのもJAPDTならではさて2日目にはきっと楽しみにされていた方も多いと思われる、ロジャー・アブランテス博士の「イヌ科動物の社会行動の進化」という講演が計6時間(!)もありました。トレーニング技術の話だけではなく、このような学術的な講演が聴けるのもJAPDTならでは、ではないでしょうか。その他にはケリー・ゴーマンさんによる「ペットショップでできるパピートレーニングについて」という講演があり、ペットショップでの子犬販売が多い日本での現状を改善するためのヒント与えてもらいました。そして、水越美奈先生からは、日本で家庭犬の飼い主に伝えるべき犬のしつけの考え方、五十嵐和恵先生からは、家庭犬が幸せに長生きするための実際のしつけ項目を獣医師の視点から非常に分かりやすくお話していただきました。そしてショートセッションでは、現在第一線で活躍されているドッグトレーナーの方々(鹿野正顕さん、中西典子さん、西田長明さん、西村麻実さん、福山貴昭さん、真壁律江さん、山本央子さん、矢崎潤さん)による15分間講演が行なわれました。バラエティーに富んだ内容のお話を聴くことができ、会場は満員立ち見御礼で、まるでライブ会場のように非常に活気あふれる場となりました。参加者の方が、いかに実際に日本で活躍されている方々の声を聞きたいと思っていらっしゃるかがよく分かりました。
3日目には森裕司先生による「獣医行動医学の立場からみたイヌの行動特性」の講演があり、ペットドッグトレーニングと関係の深い「獣医行動医学」についてのお話はドッグトレーナーの人たちにとって非常に参考になったのではないでしょうか。また、パネルディスカッションでは、パネリストとしてイアン・ダンバー博士、テオティー・アンダーソンさん、太田光明理事長、森裕司先生、藤井聡先生、高倉はるか先生が参加され、ペットドッグトレーニングの普及についての活発な議論がありました。その中で、イアン・ダンバー博士がおっしゃった、「JAPDTは、ペットドッグトレーニングに興味がある人なら誰でも参加することができる、団体間の垣根を越えた組織になって欲しい」という言葉はとても印象的でした。
3日目の夜に開かれた懇親会では、初めの数分こそは静かな会場でしたが、その後はもう、明るいドッグトレーナーの人たちが集結しておりますので、大変にぎやかであっという間に終了時間が来てしまうような盛り上がった懇親会になりました。今回参加されなかった方は、来年はぜひ参加されてみてはいかがでしょうか。
JAPDTカンファレンスは年に1回開催されるそうです。このカンファレンスが、ペットドッグトレーニングについての知識共有、情報交換、ネットワーク作りの場としてますます発展していくことを願っております。
最後になりましたが、まだまだ未熟であるにもかかわらず今回のカンファレンスにおきまして、発表の機会を与えていただきました、JAPDT理事の皆様に感謝申し上げます。