人は感情の変化に伴い、顔の表情が変化します。また、統合失調症では「表情のこわばり」や「険しい目つき」、うつ病では「表情が暗い」、「無表情」といったように、過度のストレスがその発症原因の一つとして考えられている精神疾患も顔の表情に影響を与えます。
一方、犬も耳の傾き、口の開き方、鼻の上のしわの寄せ方などを変化させることで、恐怖心や攻撃心といった感情を顔の表情で表現しますが、不安や恐怖といった情動が関わる問題行動と犬の表情との関連は明らかになっていません。
しかし、問題行動のカウンセリングを行っていると、不安や恐怖が関与していると考えられる問題行動を持つ犬は、険しい顔つきをしていて、治療による行動の改善に伴い、表情が柔らかくなるのを感じます。
そこで今回の講演では、問題行動の治療を行った症例を挙げながら、問題行動を抱える犬の表情と、行動の改善に伴う表情の変化について考察します。