第5回 JAPDTカンファレンス 講演概要

社会とワーキングドッグ

講師

野地義行

日時・会場

9月12日(日) 15:30〜16:20 第2会場

講演概要

ワーキングドッグの歴史が短く浅い日本では、一般社会に於いて、ワーキングドッグの認知度が低いのは当然なのかもしれないが、その仕事に携わる者の立場からしてみれば、スイス・イギリス・ドイツ等、ヨーロッパの先進国であっても、決して充分とは言えないのが現状だ。
 その中で、日本に於けるワーキングドッグとその使用者を守る、国が定める画期的な法律「身体障害者補助犬法」が平成14年に施行されたのは価値ある一歩であるが、残念ながら既に7年経過しているにも関わらず、一般社会では、盲導犬、介助犬、聴導犬等の違いすら理解できない現実があるのも確かで、その為に補助犬使用者は、暮らしに必要な日常の買い物であっても、来店拒否に頻繁に遭遇することで、基本的な生活さえも狭められてしまう現実を強いられている。ただこれは、一般的な理解度をこちらが嘆くばかりではなく、ワーキングドックに携わる者達も協力し合い一丸となった上で、折ある毎に啓蒙活動を拡げて行かなくては、その認識や地位向上の責任も果たせないと思う。
 一方、ペットとして犬と暮らす人口は驚くほど多く、取り分けアジアでは近年増え続けている。弊害としては、無責任な飼い主の元で不幸な一生を終える動物が居るのは誠に遺憾だが、人の傍らに動物が居る、内でも犬が家族になることに因り、犬本来の持つ計り知れない能力やその純粋で忠実な性格を、人がやっと気付き始めたからだと信じたい。    以上の思いを込めて今回は、日本社会に於ける新しいワーキングドッグの在り方と、国内の補助犬使用者の現状を、一部ではあるが、育成者の立場からご紹介したい。